
素材特性
金属素材の特性
一般的金属として鉄がありますが、その中にも、加工性、溶接性、高温耐久性など様々な特性があり、素材に添加する成分や比率、または精錬、加工の方法によっても性質が大きく変化します。
設計、施工者はその素材の特性を理解し、最適な選定を考え上手く利用する必要があると考えます。

炭 素 鋼
一般的な鉄と言われる材料は炭素鋼と呼ばれ鉄Feに炭素CやマンガンMn、リンP、ケイ素Si、硫黄Sなどを添加し製品へ加工しやすくしたもので、添加する元素の種類や量により性質を変化させます。
各成分のわずかな添付量によって特性が大きく変化致します。
主に添加する元素の影響を以下に示します。
1)炭素量 0.1~0.3%→加工性、溶接性が良く安価である為一般的な材料として使用される。
2)炭素量 0.1~0.6%→強度が高くなり熱処理により強度を変化させやすく、精密機械部品や強度部材として利用。溶接性は落ちる。
3)炭素量 0.6~2.14% →強度、摩耗性が強くなり工具の素材などに利用。
4)マンガンMn→添加すると焼き入れ性が向上し強度をえられ、靭性も損なわない。
5)リンP→被削性と耐候性を向上するが含有量を低く抑えることが肝心。
6)ケイ素Si→主に脱酸材としての利用で、0.5%以下で延性、靭性を損なわなずに強度を上げる事が出来る。
7)硫黄S→被削性を得られるが含有量が多いと靭性と溶接性に悪影響がある。
以上となり、炭素量とマンガン・リン等の成分の添加量により様々な特性を持った素材に分けられます。
【一般的な炭素鋼の規格】
SS材「一般構造用圧延鋼材」と呼ばれ低炭素、低価格と加工性を重視した鋼材。SSの後に引張り強度の数値が表記されSS400、SS490などで表記される。
SC材「機械構造用圧延鋼材」と呼ばれSとCの間に炭素の含有量で表記されS45C、S50Cと表記される。
SM材「溶接構造用圧延鋼材」と呼ばれ船舶関連、また高い溶接性を求められる製品に利用。SMの後に引張り強度の数値が表されSM400、SM490などで表記される。
SN材「建築構造用圧延鋼材」と呼ばれ比較的に新しい材料で、耐震の補強材などに利用、SM材同様に引張り強度の数値により、SN490と表記されます。
炭素鋼から合金鋼へ
炭素鋼は安価で優れた材料として広く使われています。
その炭素鋼をより強度、耐食性、耐熱性、耐低温性を上げるため、様々な元素 (Si、Cr、Mo、Al、Ni、Ti、Cuなどを1つ以上)を添加する事によりさらに性質を向上させたのが合金鋼と呼ばれています。
合金鋼には元素の添加量によって低合金鋼と高合金鋼の2つに分類されます。
分類:1【低合金鋼】
低合金鋼は、Ni、Cr、Mo、及びその他の合金元素の含有量が10%未満(一般的には5%以下)とされています。
代表的な材料
◇高張力鋼
ハイテン鋼と呼ばれ炭素量0.2%以下とし溶接性を向上させています。また、シリコン、マンガン、チタンなどを添加し、炭素鋼より引張り強度、降伏点の向上をさせた合金鋼です。車のボディや貯蔵容器(タンク)、大型構造物、ボルトなどに使用されています。
◇強靭鋼
炭素量を0.3~0.4%とし、クロム、マンガン、ニッケルなどを1%程度含み、靭性、引張り強度が高く、熱処理により歯車、軸などの機械部品の素材へと使用されます。
◇低温用鋼
ー10℃よりも低い温度域で使用される材料で、低温高張力鋼、アルミキルド鋼、オーステナイトステンレス鋼などがあり、硫黄、リンの含有量を抑え、低温域での脆性、靭性が落ちる低合金鋼の弱点が考慮されています。
エネルギープラント設備、貯蔵容器(タンク)などに利用されます。
◇クロムモリブデン鋼
熱処理による靭性の低下などを補う為、高温、高圧域でのクリープ(ひずみ、変形が進む)を抑えるようクロムとモリブデンを添加した材料です。耐摩耗性も向上させており、高温高圧用管材、ボルト、ナットに使用されています。
分類:2【高合金鋼】
高合金鋼は、Ni、Cr、Mo、及びその他の合金元素の含有量が10%を超え、合金元素の割合が高い物とされ、代表格としてステンレス鋼があります。
ステンレス鋼はニッケルとクロムを多く含む高合金鋼で基本的に3つの系統に分類されます。
◇マルテンサイト系
炭素量が多くニッケル量が比較的少ない為、安価であるが、磁性が有り、他のステンレス鋼より耐食性が劣ります。
◇フェライト系
フェライト組織の2相合金鋼でニッケルをほぼ含まずクロムを多く含んだクロム系ステンレス鋼です。
価格は安価で加工性も良く厨房機器の素材、大型建築、構造物の外壁や屋根材などに使用されます。
◇オーステナイト系(18%Cr‐8Ni)
ニッケルを多く含み、耐食性、加工性、溶接性など全てがすぐれていますが、価格が高くなる為、コストを考した利用が重要となります。
ステンレス鋼種の中では一番利用される用途が多く、SUS304、SUS316などが一般的です。
ニッケル合金
地球上で5番目に多い金属元素とされ、その特性で広く利用されています。
ニッケルの大きな特徴として、腐食(酸化)に強いという特性です。
ニッケルの表面には不働態被膜があり、その炭素鋼をより強度、耐食性、耐熱性、耐低温性を上げるため、様々な元素 (Si、Cr、Mo、Al、Ni、Ti、Cuなどを1つ以上)を添加する事によりさらに性質を向上させたのが合金鋼と呼ばれています。
・ニッケル銅合金
アルカリ、海水、フッ酸に強い耐候性。
・ニッケルクロム合金
耐熱、耐腐食性が高く、過酷な環境下での耐性が高い
・ニッケルモリブデン合金
耐熱、耐腐食性が高く、過酷な環境下での耐性が高い
・ニッケルクロム鉄合金
耐熱、耐腐食性が高く、過酷な環境下での耐性が高い
鋳鉄
一般的な鋳鉄とは炭素(2.1%~6.6%)、ケイ素(2%程度)を多く含み比較的に低い温度(1200°C)で溶解する為、様々な鉄製品へと使われてきました。
・ねずみ鋳鉄 / 一般的な鋳鉄で比較的炭素量があり加工しやすい。
・白鋳鉄 / 炭素、ケイ素が抑えられ硬く耐摩耗性があるがもろい。
・ダクタイル鋳鉄 / 弱点の靭性をセリウム、マグネシウムにより向上させたもの。
私たちは多彩な金属加工技術と溶接技工を生かし、過酷な環境下で使用されている機器の製作に数多く携わり高い評価を頂いております。
特に焼却プラントでの機器や設備の製作、修繕、改良に携わることが多く、お客様より要求される耐久性を満たすべく特殊材料の選定や加工、施工方法に至るまで様々な角度から研究し、製作して参りました。
材料となる素材の特性を理解し素材をどのような形状へ加工し利用するかによって大きく性能や寿命に影響を受けます。様々な素材の特性の理解を製品製作の基本と考え、最適な素材の選定、加工技術ををお約束いたします。